Coucou ! ほたです。
フランス映画の名作『シェルブールの雨傘』を、対訳シナリオで味わうことができる面白い教材を見つけました。それがこちら。
シェルブールの雨傘―仏和対訳シナリオ。
今日はこの教材レビューと、劇中の印象的なフランス語表現を紹介します。
映画『シェルブールの雨傘』の概要
『シェルブールの雨傘』は、1964年のフランスと西ドイツ合作のミュージカル映画です。
脚本・監督はジャック・ドゥミ、音楽はミシェル・ルグラン、主演はカトリーヌ・ドヌーヴ。原題は『Les Parapluies de Cherbourg』
鮮やかな色彩とミシェル・ルグランの音楽が素晴らしく、特にこちらの歌が有名です。
簡単なあらすじを紹介します。
シェルブールで傘屋を営む母と暮らすジュヌヴィエーヴは、ギーと付き合っています。そんな時ギーが出征することになり、2人は別れ別れに。その後に妊娠が発覚したジュヌヴィエーヴは、結局別の人のもとに嫁ぎ、パリに去ります…。
シナリオ教材の概要
先に結論を書くと、この教材はこんな方におすすめです。
・フランス映画が好きな方
・クラシックなフランス語表現を味わいたい方
・映画のセリフを通して読解力を伸ばしたい方
一方で日常会話の習得を第一目的にする場合は、少し方向性が違うかもしれません。
これは映画のシナリオを教材にしたテキストで、全セリフと情景描写がフランス語で載っています。
1987年と1994年に出版されたヴァージョンがあり、私の1987年版はシンプルなセリフと文法事項だけなのですが、Twitterのフォロワーさんによると1994年版は穴埋め練習問題があるそうです。
1987年版は99ページ、1994年版は89ページです。
今やNETFLIXなどで日仏同時字幕を出し勉強ができるようになりましたが、これは教材の形を取っているので文法事項も日本語で細かく解説してくれているのがポイント。
映画のシナリオと聞くと身構えますが、テキストを手にしてみると「え?1時間32分の映画でこんなに薄いの?」と感じると思います。片ページは文法解説なので、実質シナリオは50ページに満たない量。読み物としては少ないですね。
文法や単語もそれほど難しくありません。テキストまえがきには「初級の前半を終えた段階から入ってもそう困難ではなく…」とあります。ただ、条件法がたくさん出てくるので、個人的には中級くらいの方が楽しめると思います。
私はこのテキストを一昨年すでに一度通しで読み込み、今回は全フレーズをテキスト片手に、何度も巻き戻しつつ映画と一緒に言ってみました。
いわゆるミュージカルなので話すスピードがゆっくりで、俳優さんの口の形をじっくり見ながら発音できるところはとても良いですね。しかし逆に、ミュージカルであるために普通の会話のリズムとは違うという難点もあります。
また、昔っぽい言い回しなんだろうなと思うところも多々あるので、これをそのまま日常会話に持ってこようとはあまり思わなかったです。
総括すると、クラシック映画に浸りながら、楽しく文法を学ぶ目的ならとてもおすすめです。量的にもレベル的にも教材としてはライトだと思うので、取り組みやすさもあります。
解説もきめ細かく、フランス映画を題材に日本語で解説があるものはかなり希少なので、私は買う価値のある良テキストだと思います。
『シェルブールの雨傘』から学ぶフランス語表現
いくつか私が心にとまったセリフを、文法事項とともに紹介します。レベルの参考にもしてみてください。
On ne meurt d’amour qu’au cinéma.
恋で死ぬのは映画の中だけよ。
ギーに召集令状が来て打ちひしがれるジュヌヴィエーヴに対するエムリー夫人(ジュヌヴィエーヴの母親)のセリフです。
ne…que ~しか~ない 否定の制限
meurir de A Aが原因で死ぬ
= On meurt d’amour seulement au cinéma.
Ça ne te regarde pas. – Si, ça me regarde.
叔母さんには関係ないよ。ーいいえ、関係ありますとも。
ギーがどこに出かけるのか母親のように心配する叔母さんとギーのセリフです。
ここの te と me はどっちも叔母さんのこと。regarder は普段「~を見る」という時に使う動詞ですが、物事を主語にして(ここはça) regarder ~に関わる、関係がある という意味になります。
例・Cette histoire ne me regarde pas. この話は私には関係ない。
C’est étrange, le soleil et la mort voyagent ensemble.
不思議なことに、ここでは太陽と死とがいつも一緒なのだ。
戦地からのギーのジュヌヴィエーヴに対する手紙の一節です。
直訳すると「太陽と死が一緒に旅行する」
日常的な言い方というより、手紙だからこその詩的な表現という感じ。
ギーの切迫感が伝わる反面、文章として美しいですね。
Pourquoi Guy s’élogne-t-il de moi, moi qui serais morte pour lui.
Pourquoi ne suis-je pas morte ?
何故彼は遠くへ行ってしまったの、彼の為なら死んでもいいと思った私なのに。
どうして死んでしまわなかったのかしら。
妊娠中の体で戦地のギーを想う気持ちと、カサールの結婚の申し出を受けるか悩むジュヌヴィエーヴのセリフです。
moi qui serais と être の条件法現在を使っているのは実際には起こっていない事柄(今も生きている)ことを示す為で「彼の為に死ぬ覚悟もあった(けど実際には死んでない)」ということ。
Elle a beaucoup de toi. Tu veux la voir ?
あなたによく似てるわ。会ってみる?
5年後、雪の降るクリスマスにたまたまシェルブールを訪れたジュヌヴィエーヴとギーが偶然再会するシーンです。
ここの Elle, la はジュヌヴィエーヴの子供(つまりギーの子供)のフランソワーズのこと。
avoir de qqn で tenir de qqn (人の)血を引いてる = 似てる になります。
= Elle te ressemble beaucoup.
一言で言うと「救いのある悲恋」で、大好きな映画です。
クラシック映画と共に学ぶフランス語は贅沢な感じがしますね。まあ私の目的である会話力向上にはそれほど向かないですが、実用性だけが全てではないですしね!
映画で学ぶフランス語に興味がある方は、こちらもどうぞ。

A bientôt !



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