【仏作文上達の決定版】フランス語作文ラボのテキストレビュー

講座・教材レビュー

Coucou ! ほたです。

フランス語作文ラボのテキストを2カ月取り組み先日終えました。

結論から言うと、私の中で2023年上半期ベスト賞でした!少しお高めだからずっと迷っていたけど早く買えば良かった。

「文法的に正しい」はもちろん、「ネイティブの自然な発想」を学ばせてくれる教材です。

今日はこの「フランス語作文ラボ・ニュアンスで使いわけるための添削教室」のテキストを実際に使い終えた感想、教材の概要、おすすめポイントをまとめました。

 

テキストの概要

210ページ、全40課、クリス・ベルアド著。

たとえ短い文でも、伝えたいことを正確にフランス語にするのは難しいものです。なんとか文を組み立てても、文法が間違っていたり、違う意味になっていたり、ニュアンスがずれていたりすることがよくあります。
 クリス先生のラボ(研究室)で授業を受けながら、一緒に学んでいきましょう。全40課を終える頃には、漠然としていた文法知識の整理がつき、シンプルで洗練されたフランス語を書く力がついているはずです。

引用:AMAZON商品説明

日本語からフランス語に訳してみる練習問題を順番に取り組むのですが、これが意外と難しいのです。ことごとく不自然な文章例そのままの作文をしてしまいました(笑)

あえて間違った作文例を載せ何故それが不自然なのか解説しながら、よりネイティブの自然な文章に導いていく構造。全40課で280フレーズに取り組む充実した内容です。

私は平日毎朝20~30分ずつ読み、約7週間で1周終えました。

 

おすすめポイント

「ネイティブ視点」の「微妙なニュアンス」を「日本語で」解説してくれる

このテキストの優れた点はまさにこれに尽きると思います。

これを読んで下さっている方の中にはネイティブの授業を受けている方も沢山おられると思いますが、様々なニュアンスの違いを本当に私たちの母国語である日本語で明快に解説できる先生はどれくらいいるでしょうか。

私含め多くの方がフランス語で(または英語で)解説を聞き、自分の中でかみ砕いて理解していると思います。

もちろん、それでもある程度理解は出来ます。でも母国語で聞く理解度には叶わないはずです。

ネイティブにしか分かり得ない絶妙なニュアンスの感覚をこんなに細かくしっかり解説されている本は他にありません。これを一冊終えて私はかなり霧が晴れた感覚です。

文法的に正しいフランス語からさらに一歩踏み出し、より自然に響く単語の選び方、表現の仕方を学ぶことが出来ます。時には直訳ではなく文意を捉えなおして、フランス人の思考のプロセスまで解説してくれるのでとても納得できる。

しかもこれはただネイティブであるだけでは決して出来ない解説で、本当に日本人の心情と日本語の特徴を理解した上で作られた私たち日本人専用の指南書です。

 

そもそも仏作文の教材はかなり少ない

仏検準1級、1級で出題される和文仏訳。配点も大きく落としたくない項目ですが、意外とこれを練習できる仏作文教材はありません。ほぼ仏検対策本一択なのが現状です。

以前に仏検対策の記事で書きましたが、私も結局仏作文に関しては対策本2冊の数問と毎日日記を書く、ということで乗り切りました。(得点を知らないので乗り切れていたのかは分かりませんが…笑)

そして最初に書いたように、日本語とフランス語両方に精通している先生はそんなにいないですよね。日本語→フランス語の作文添削は誰にでもしてもらえるわけではないから、一番独学しにくい分野だと思います。

別に純粋な日常会話だけなら100伝える必要はなく、70で十分だったりします。フランス語で聞いてフランス語で大枠を理解した方が効率が良い場合も多いです。

でも和文仏訳は日本語のニュアンスを余すことなく文にしなくてはならず、適切な単語の選択や必要に応じた文意の捉え直しを求められるので、やはり正しい教材で勉強することが望ましい。これを仏検前に学ぶべきだったというのが私の反省です。

このテキストは仏作文の土台作りには申し分ありません。特に仏検準1~1級受験予定の方、仏作文教材を探している方には強くおすすめできると感じました。

 

根本的な仏文構造の特徴が目から鱗

さらに私が大きく感動した点があります。

①フランス語は英語ほど無生物主語を取らない
②フランス語は肯定を表すのに否定で表現することが多い

これ、皆さん意識したことありますか?

私は無意識的にそういう使い方をしている時もあるけど、長年勉強していて一度もこの点をはっきり解説しているテキストに出会ったことはありません。

むしろ尊敬している横山カズさんという独学で英語通訳になられた方の本を読み、一時期はあえて頑張って無生物主語を多く使うように心がけていたくらいです。

横山カズさんの著書の中では「英語は圧倒的に無生物主語を取るので、優先して無生物主語の文章を練習する」というようなことが書いてあります。

…が!フランス語は逆!

「英語とフランス語の構造はほぼ同じ」というのが私の中で刷り込まれている弊害です。

作文ラボのテキストから例文を一部引用します。

(あなたの)勉強の仕方が悪かった。
Ta façon d’étudier était mauvaise.
→ Tu as mal étudié.

話が合わない。
la conversation ne va pas.
→ On ne se comprend pas.

このように日常会話においては、無生物主語より生物主語 (tu, je, vousなど)を使う方が断然わかりやすいそうです。

フランス語は日本語よりは無生物主語を使うことが多いですが、「ネイティブ的な発想では、特に人と話し合う場面では直接話し手を指す方が自然」ということです。私は今まで本当に逆のことをしていたわけですね…

また否定形で表現することが多いのも私がこれまで意識していなかった新事実です。

同じくテキストから例文を一部引用します。

もっと小さな声で喋ってください。
Parlez d’une voix plus petite.
→ Parlez moins fort.

フランスに旅行してよかった!
J’ai eu raison de voyager en France !
→ Je ne regrette pas d’avoir voyagé en France.
→ Ce n’était pas du tout une mauvaise idée de voyager en France.

このようにフランス語ではマイナスの話ではなくても、否定形から考える傾向が強いそうです。「マイナス × マイナス = プラス」と言う方式で何かを評価する方が自然なのですね。

ただでさえ頭フル回転で動詞活用し性数一致し一文を必死に絞り出す私には、そう簡単でもないですが…自然にこの感覚を得られるようになるには慣れが必要です。

今までどこにも書いていなかったこの根本的な構造に気付かせてくれたテキストには感動しました。練習問題ではこの点も意識させて取り組むものが多くあり、確実に表現力が底上げされます。

 

まとめ

・文法のレベル的にはそんなに高くない(初中級~)

・上級者でも買って損はないほどニュアンスの説明が絶妙

・仏作文に限らず会話力向上目的でも役立つ日常表現がメイン

・仏検受験者には特におすすめ

「文法的に正しい」ことは比較的学びやすいけど、「自然に近い」ことって本当にすごく難しいと思います。ずっと現地に住んでいて自然とニュアンスが分かるほど、フランス語を浴びる環境にある以外は。

それがこんなに明確に独学で学べるテキストはやはりとても貴重だと思いました。

 

 


余談ですが私は英会話タイムトライアルというラジオ講座を気に入って数年聞いています。これがいわゆる「ネイティブの先生監修・瞬間英作文」なのです。

本当に痒い所に手が届く内容なのでいつも同じコンセプトのフランス語版が欲しいと常々思っており、このテキストがまさしく!それを叶えてくれました。

本当に良かったのでこの先生他にも本出してないのかなぁと探してみると、共同著書の1冊だけヒットしました。

珍しく早速買ってみたので、また終えたらレビューしますね。

A bientôt !

 

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