仏検1級二次試験勉強法【面接受験レポ・対策・過去問分析】

仏検

Coucou ! ほたです。

前回は仏検1級一次試験の概要や対策についてお伝えしました。

仏検1級一発合格!受験レポート【レベル・問題傾向・対策】
仏検1級のレベルや問題傾向、必要な対策や実際の受験レポートなどを詳しくまとめました。仏検1級の受験を決めたらまずここをチェック!

今日はそれに続き二次面接試験の概要、実際の受験レポート、私が実際に効果を実感した面接対策を余すことなく詳しくお伝えします!

 

二次試験の概要

まずは二次試験の概要から。

1級二次試験は9分間の個人面接です。試験官はフランス人と日本人一人ずつで、通常フランス人試験官が質問します。

試験3分前にA、Bペアになったテーマが2題書かれた紙を渡されて、そのうち1題を選んで準備します。Aの課題が時事的な内容、Bの課題がより一般的な話題になっています。Aの方が難しいことが多いですがどちらを選んでも優劣はありません。

時事のテーマはほとんどが日本またはフランスに関連する内容です。(パリ会場の場合問題が違うらしくフランスの時事問題が多い)

国際的に大きな出来事があると国際情勢テーマも出ますが、その場合も大抵は日仏と関連させた話になります。過去には「日中関係の現状」「国際社会と日本の関わり」「EU加盟条件である死刑制度廃止の是非」というようなテーマも出題されました。

とは言え関連を考えだすとキリがないので、あまり広げすぎない方が良いと個人的には思います。私は国内時事と一般的なテーマに絞りました。

 

実際の面接受験レポート

ここからは二次試験当日のレポート形式でお伝えします。

会場は準1級の時と同じ大阪のアンスティテュ・フランセでした。集合時間の30分前に着いて近くのドトールでコーヒーを飲みつつノートの見直し。

時間になったので受付を済まし待機室に入ると待っているのは4人。みんな私より余裕に見える…

そのあと2人ずつ呼ばれ面接室の前の椅子に座らされて、前の人の面接が終わったタイミングでテーマを渡されました。ここから3分のカウントダウンスタートです。

テーマのひとつめが「今年のフランスの選挙についてどう思うか」

(政治でしかもフランスの方!ダメだこれは無い…)

ということで速攻で捨ててふたつめが「éducation secondaire の規則は厳しすぎるか」

(教育!でも secondaire って!?塾?いやでも塾の規則って何?規則とかあったっけ?いやどっちにしろ言うことない!単語の意味を直接聞く?でもテーマが分かってないとか絶対やばい。もうダメ…)

お分かりでしょうか、パニックです(笑)

そう、まさかのキーワードが分からなかったんです!ちなみに éducation secondaire は「中等教育」で仮に知らなくても余裕で文脈から推測できる範囲なのに、緊張と3分しかない状況で考えが至らず。

ここまでで多分1分半くらい経過していました。

結局私が出した答えは「仮に塾じゃなかったら終わりだから深追いせず子供の教育に関してふんわり話す」。残り1分半くらいで導入・利点欠点(らしきもの)・まとめの単語のみメモって時間切れ。

全然準備出来てない…と半泣きの気持ちで入室。面接官は優しそうなフランス人男性と、同じく優しげで静かそうな日本人男性でした。

挨拶して選んだテーマを答えて「では話してください」と言われ緊張がマックスに達しました。

以下私が話した内容です。

「子供のしつけ教育については近年ますます話されるようになっています。子供のしつけは厳しい方がいいという考えの両親が多くいます。日本は学歴重視の社会なので子供のしつけは大切だし、子供をしっかりしつけたいと思うのは親として普通です。」

ここで緊張して2つめに言いたいことを忘れる。一瞬空白。

「緊張してます、すみません」と正直に言うと「大丈夫ですよ~どうぞ続けて」と優しく返ってくる。

一つしか利点言ってないけどもう仕方ないので飛ばして次の意見へ。何かムッシュがメモするのが見えて(あ、減点されたな)と思いました。

「しかし厳しくしすぎるのは良くないという人もいます。子供の創造性を殺してしまいます。しかも子供をとりまく環境はますます難しくなっています。2020年、子供の自殺件数は過去最多を記録しました。ストレスを抱える子供が増えています。

まとめると良い点悪い点ありますが、バランスを見つけることが必要だと思います。」

続いて質疑応答。質問は全てフランス人試験官からでした。

「制服についてはどう思う?」
(えっ、なんで制服…?)←まだ塾と思ってる
「余計な差別が生まれないので制服は良いと思います。私は賛成です」

「子供同士で出かけることについてはどう思う?」
(なんか思ってた質問と違うな…)←まだ塾と思ってる
「最近の子はけっこう中学生くらいでも遠出すると聞きました。子供だけで京都とか…日本は治安も良いので」
「あ~私たちの時代はね、ディスコとかね」と言って踊るジェスチャーをする陽気なムッシュ。

「では目を閉じてあなたが13歳と想像してください…日本とほかの国、どこで学校に通いたいですか?」
「私は日本ですね。日本の教育は厳しいですけど、勤勉に努力する姿勢を評価しますから。私は性格的にそういうスタイルの方が好きです」

ここで面接終了。

「今日は大阪からですか?」「いえ神戸です」みたいな和やかな雰囲気でお礼と挨拶をして退室。

帰りはどっと疲れてなにかおいしいもの食べて帰ろうと思っていたけど水だけ買って直帰しました。

電車の中でやたら中学校に関すること聞かれたなぁと思いながらやっと例の単語を調べる。←まだ気づいてない

「中等教育!だからあの質問!でも一言も塾とか口走らなかった~セーフ~~!」

とその時まだ頭がぼんやりしてセーフとしか思いませんでしたが、帰宅して落ち着いてやっとじわじわ「やってしまった…」と思い始めました。

そもそもテーマを理解してない、しかも「中等教育」なんて基礎的な単語が分からなかった自分があまりに情けなさすぎる。仮にも12%の一次試験をパスしてあんなに難しい単語もいっぱい覚えたのに、ここにきて「中等教育」…

今年の受験者の中で私だけだろうな…
教育テーマかなりやったし言えること色々あったはずなのに…

なんて考えがめぐってそれから軽く一週間は落ち込みました。

しかも私、質疑応答で聞かれた「制服」のテーマを前日にオンラインレッスンでやったんです!

でも準1級用の問題だったしさすがにこんなオーソドオックスなテーマ出ないよね、って試験前日なのもあって特に復習はせず。せめて質疑応答で挽回できる大チャンスだったのに「制服は差別がなくて良いと思います」だけって…授業をしてくれた先生にも申し訳ない。

そんなこんなで合否発表当日、いざふたを開けてみると50点中43点!えー!筆記より良い!

ここまで読んでお分かりの通り、私のエクスポゼはテーマからずれてて質問にもたいして答えれておらず薄ーーーい内容です…しかもかなり短い。

1級の面接官をしたことがあるという日本人の先生が「けっこう適当だからにこにこして何か答えたら大丈夫ですよ!」って直前にアドバイスをくれて1級まで来てそんなまさかって思ったけど、実際それに近いものだったことが分かりました。

ちなみに後日また別の先生にこの話をしたのですが、私の取った「テーマを理解しきれてなくても核心を避けてふわっと話す」というのはれっきとした戦略の一つらしいです。Une technique d’évitementと言うらしい。大層な名前!(笑)

というわけでみなさんが私のような状況に陥らないことを祈りますが、もしも「話すことが無い!」と思ってピンチでも諦めず笑顔でなにかしら話し続けてください。何かしら話したら面接官がそこから話を広げてくれるチャンスも生まれます。

この話をブログでさらすのは正直恥ずかしいけど、こんな内容でも合格できるんだとひとつの参考になればと思います。

 

私がした二次試験対策

ここから私が実際にした対策を書きます。

レポで書いたように想定外の問題発生でなかなかひどいエクスポゼでしたが、逆に言えば対策のおかげでなんとか最低限の型だけ崩さず話せました。

これから書く対策は私のように特に面接ですぐパニックになる、時事問題に苦手意識がある、二次試験まであまり時間が無い方向けです。

それと基本一人でやる対策についての話なので、可能なら是非これとは別にネイティブと模擬面接をしてフィードバックを貰ってください。私自身はちゃんとした二次対策は筆記試験後から、でも去年から週2回ほどオンラインレッスンでなんとなくエクスポゼっぽいことはしてました。

さて、私がしたことはずばり社会問題の大枠を知る」「小出しの話題を集める」「応用できる型を決める」です。

原稿は一つも作っていません。
対策テキストもやってません。(試験の流れと過去問には目を通しました)

まず原稿は作ったところで覚えられないし一つ作るのに時間がかかりすぎます。そして対策テキストは模範解答が完璧すぎて自信を無くします(あれ書いた人は絶対テーマ見て3分で考えてないですからね!)

「社会問題の理解」と「話題集め」に使ったものは時事の本、時事の番組、google翻訳です。順番に見ていきましょう。

 

時事の本を読む

就活生定番の時事問題対策本、朝日キーワードの最新版を買いました。この本はその年の時事キーワードを1~2ページで分かりやすく解説してくれています。

これを一通り読んで、各テーマごと問題になっていること、その背景や原因、利点・欠点、解決策を日本語で数行書きだしました。ポイントは「日本語で」です。

仏検の面接準備は3分しかありません。テーマを読む時間を考えると実質2分半ほど。そんな時母国語の日本語でさっとメモして(あるいは頭の中で)、話す時にそのキーワードからフランス語を呼び出せたら一番早いと思いませんか。

というわけでまず「社会問題について日本語で簡潔にまとめて理解する」ことをしました。

次にそのメモを見ながら「頭で」フランス語に直して言ってみる。これがすごく難しいんです。

単語が思い出せないとか、上手く文章にできなかったりとか。でも当日必要なのはこの能力です。推敲された完璧な文を作ることより、即興でその場で伝わる話ができること。

なので「自分の言える極シンプルな文」を重視しつつ、単語を調べてちょこっと横にメモしたり、google翻訳の日本語→フランス語でヒントを得てみたり、慣れたら逆にフランス語でgoogle翻訳に音声入力して大体自分の伝えたい意味の日本語になっているか確認したりもしました。

どうせ本番も完璧には話せないのである程度通じる感じなら良しというスタンスです。

 

時事の番組を見る

次に時事番組。持論公論は2年ほど前から毎日なんとなく録画して見ているNHK番組ですが試験前はかなり真剣に見ました。平日の夜毎日10分です。

時論公論 – NHK

国内や国際社会で問題になっている事柄について「何が問題でどんな背景があって何が出来るのか」その分野専門の論説解説員が説明してくれる番組で、たった10分と短いので負担なく見れるし本当に分かりやすい。

そしてこちらのサイトに要約した前日の放送内容がアップされます。

解説委員室

この番組は本当に仏検対策の宝庫と思います。問題提起、理由、解決策までってエクスポゼの流れと同じだと思いませんか?

こちらのサイトでテーマになり得そうなものをいくつかピックアップして、時事テキストと同じやり方でまとめていました。

 

それから普段の生活の中で見知った「話題になりそうなこと」はiPhoneのメモにためていって、同じくフランス語で簡潔に言う練習をしました。これは特に利点・欠点の意見を支える「例」をすぐ出せるようにする作業です。

例えば

「デジタル庁が発足して小中学校でデジタル端末が無料配布された」
「2021年子供のいじめ件数は減少したがネット上では増加した」
「高校の家庭科で資産形成の授業がスタートした」
「2021年日本は世界経済フォーラム観光競争ランキング1位に選ばれた」
「牧畜を無くすと世界で10億人の農家が仕事を失う」
「今年世界で初めて難民数が1億人突破した」
「コロナでみんなが手洗いうがいをして年間4000億円の医療費削減になった」

などなど。普段はさほど気にしていないことでもエクスポゼで自分が使うことを意識してニュースを見ていると「そうなんだ!」と思うことがたくさんあります。

当日はテーマに合わせてこの「プチ話題」を組み合わせる作戦にしました。例えば「デジタル端末」の話なんかはテーマになりやすい「デジタル化の是非」や「教育」どちらにも応用しやすいです。

こういう具体的な話題を組み込むと時事に通じている印象を生むし、明確な数字は信ぴょう性が増します。仮にちょっと間違っていたとしても大丈夫、データの正確さを見る試験ではありません(笑)

そしてこんな風に社会テーマを広く見ていくと

「どのテーマも大枠では政治・スポーツ・環境・教育・情報などに分類できて、もう少し細かくしても多くはデジタル化、ジェンダー格差、気候変動、少子高齢化などよくあるテーマに行き着くこと」や「結局すべての問題はどこかでつながっていること」に気付いて、私は気が楽になりました。

当たり前と言えば当たり前なんですけどね。

「こんな短期間で最近の時事押さえるなんて無理!」と思っていたのが「仮に知らないテーマが来ても何かしら話す糸口が見つけられる」と思えたのです。

世間知らずで時事にすごく苦手意識があった私にとってこれは本当に大きな変化でした。

 

エクスポゼの型を決める

次に「応用できる型」の話。

1級面接官をしていた先生によると「そこまでかっちり厳しい試験ではないけど導入と結論は絶対必要」とのことです。

とは言えテーマに合わせた導入結論を即興でつくれる私ではありません!なので多少稚拙になってもいいからどのテーマでも使える型を決めておきました。

面接でパニックになりがちな人は特にしておいた方がいいと思います。

以下私が用意した型

① 序論
De nos jours, ○○(テーマのキーワード) est un sujet de plus en plus présent au Japon (または dans le monde entier)
ずるいけど実際仏検のテーマになるってことはprésentってことですからね。

Cela me concerne aussi car…
ここで自分に関連のあることがあれば(当日は忘れた)

② 展開部
‐1. 賛成または反対意見
Sur ce sujet, certains dissent que c’est ○○ (injuste, dangereux, une bonne chose, efficace, nécessaireなど)
En effet, 例2つ

‐2.賛成または反対意見
Cependant, il y a aussi des aspects positives / négatifs. 
D’abord, 例2つ

③ 結論
Pour conclure, je psense donc..

– cela dépend de la situation / de l’utilisation (少し物足りない)
– trouver l’equilibre est important. (今回試験で使った)
– on ne peut pas faire du manichéisme. (一番好きなまとめ方)
基本二つの側面からテーマを扱うので「状況による、使い方による、バランスが大事、白黒つけられない」という結論はほぼどのテーマでも落とせます。この後に思いつくなら問題の解決策など入れるとなお良し。

この型を元に少し形容詞を変えたり肉付けして、例のところで集めておいた「話題」を組み込むと決めていました。実際当日は1分半くらいしか準備にかけられなかったわりにはこの型を崩さず話せたと思います。

このエクスポゼの型の話は次で更に詳しく書きます。

 

エクスポゼの型と過去の試験テーマ

テーマの質問の仕方にも色々あってこれを読み違えると結局「質問に答えていない」となりかねません。

例えば「制服についてどう思うか」と「制服が必要なのは何故か」では答え方が変わってきます。

私はこれが苦手でオンラインレッスンで先生に質問のパターンごとの答え方を一緒に考えてもらいました。その一部を共有します。

ちなみに例で挙げるのは実際に過去1級で出題されたテーマだそうです。

 

利点・欠点の対比型

質問の形式 : Que pensez-vous…? や Vous êtes pour ou contre ? など

「どう思うか」という質問に対して実際自分がどう思うか(黒か白か、または良いか悪いか)は結論に持ってこなければいけません。分かりやすく流れで言うと

ある問題があって現状はこんな感じ→それに対してこういう賛成意見(利点)がある→でも一方でこういう反対意見(欠点)もある→だから自分はこう思う

仮に自分が絶対「黒」の意見でも、想定できる「白」の意見も挙げて客観的に物事の両極面を扱うことが大切です。

Q. Est-ce que vous avez voté aux dernières élections législatives ? Que pensez-vous des résultats ?
→投票したかどうか(Oui/Non+その理由)
→選挙結果に対する意見
→結論(bien / pas bien)

 

問題に対する分析型

質問の形式 : Comment expliquez-vous…? や Pourquoi…? など

パターン①とは別に「この問題をどう説明しますか?」「原因は何だと思いますか?」という聞き方があります。
この場合は簡単に言えば Pourquoi? と聞かれているので Parce que の形をとれるように答えます。流れで言うと

ある問題がある→(キーワードの定義や条件)→その理由はこれとこれ→だからこの問題が起こっていると思う(再確認)

この聞き方の時、問題の現状は「前提」なのでそれを踏まえた視点から答えます。

Q. Les salons de beauté attirent de plus en plus de clientèle masculine au Japon. Comment expliquez-vous cela ?
→この現象の理由(3つほど)
→結論(以上の理由から「男性客が増えているのだと」思います)

Q. Pourquoi le Japon ne parvient-il pas à attirer beaucoup de touristes ?
→この現象の理由(3つほど)
→結論(以上の理由から「日本は観光客を獲得できないと」思います)

 

2つの組み合わせパターン

キーワードの定義や条件→現状→利点や欠点→だから自分はこう思う

Q. Avez-vous confiance dans les médias ?
→メディアを信用するのに必要な条件とは
→日本の現状は(利点や欠点)
→結論(以上の理由から「私は信用します/しません」)

 

対策と注意まとめ

大切なことをまとめると、

・導入と結論は必要
・原稿を作るより話題を増やす
・使うエクスポゼの型を決めておく

ということです。さらにちょっと補足すると、一見簡単そうに見えるテーマでもそのあと質疑応答で苦しくなりそうなものは避けるべきです。

政治系の話題はよっぽど詳しくない限り避けた方がベター。フランス人は政治テーマ本当に大好きなので深く突っ込まれるかも。もし扱う場合は結論は中庸(右派でも左派でもない)で落とすのが無難です。

そして最後に質問の意味が理解できなかった時に使えるフレーズ。

Pourriez-vous reformuler votre question, s’il vous plaît ?

こう言うと質問を「違う表現で」言い換えてくれるはずです。「もう一度言ってもらえますか」と聞くと同じフレーズが返ってきますからね。

 


お疲れさまでした。

かなりたくさん書きましたが、一次を通過したあなたにはすでに十分な力が備わっていると思います。しっかり準備して二次面接に挑みましょう!健闘を祈っています。

Bonne chance !

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